VCPやカップウィズハンドルなどのベースパターンを識別できるようになると、次に重要になるのが「今見ているベースが何番目のベースか」という視点です。
ベースパターンは何度でも形成されますが、回数が増えるほど失敗リスクが高まるという原則があります。
第1ベースからのブレイクアウトと第4ベースからのブレイクアウトでは、同じパターンに見えても信頼性がまったく異なります。ベースカウントを把握することは、エントリーの質を大きく左右します。
この記事でわかること
- ベースカウントの定義と数え方のルール
- 第1〜第4ベース以降の特徴と失敗リスクの違い
- ベースカウントがリセットされる条件
- マーケット全体の調整とベースカウントの関係
- ベースカウントを使った実践的なエントリー判断
ベースカウントとは

ベースカウント(Base Count)とは、ある銘柄がステージ2(上昇トレンド)に入ってから何回目のベースを形成しているかを示す数値です。
オニールの「CAN-SLIM」理論で体系化された概念で、IBD(Investor's Business Daily)でも銘柄分析の重要指標として使われています。
ステージ2開始
↓
第1ベース形成 → ブレイクアウト → 上昇
↓
第2ベース形成 → ブレイクアウト → 上昇
↓
第3ベース形成 → ブレイクアウト → 上昇(リスク増大)
↓
第4ベース以降 → 高い失敗率
ベースカウントは単なる「何回目か」の記録ではありません。
機関投資家の保有状況・市場での認知度・上値余地の残量を間接的に示す指標です。
回数が増えるほど「すでに多くの投資家が買い終わっている」ことを意味し、新たな買い手が減少します。
ベースカウントの数え方
ベースカウントには明確なルールがあります。
感覚的に数えるのではなく、以下のルールに従って機械的に判断します。
基本ルール:20%ルール
新しいベースとしてカウントする条件
前のベースからブレイクアウトした後、ピボットポイントから20%以上上昇してから次のベースを形成した場合に限り、新しいベースとしてカウントします。
カウントされる例
第1ベースのピボットポイント:1,000円
ブレイクアウト後の上昇:1,250円まで上昇(+25%)
その後ベースを形成 → 第2ベースとしてカウント ✅
カウントされない例
第1ベースのピボットポイント:1,000円
ブレイクアウト後の上昇:1,120円まで上昇(+12%)
その後ベースを形成 → 第1ベースの延長として扱う ❌(第2ベースにならない)
20%未満の上昇で次のベースに入った場合は「前のベースが完全には機能しなかった」と判断し、ベースカウントを増やしません。
これにより、弱いブレイクアウトを過信することを防ぎます。
ベースカウントの具体的な流れ
| ステップ | 内容 | ベースカウント |
|---|---|---|
| ステージ2開始 | 200日線が上向き転換、株価が上抜け | カウント前 |
| 第1ベース形成 | 最初の横ばい・収縮期間 | 第1ベース |
| ブレイクアウト→+20%以上 | ピボットから20%超上昇 | — |
| 第2ベース形成 | 2回目の横ばい・収縮期間 | 第2ベース |
| ブレイクアウト→+20%以上 | ピボットから20%超上昇 | — |
| 第3ベース形成 | 3回目の横ばい・収縮期間 | 第3ベース |
各ベースの特徴と信頼性
第1ベース 最高の信頼性・最大の上値余地
第1ベースは、ステージ2に転換して最初に形成されるベースです。
成長株投資で最も信頼性が高く、最大のリターンが期待できるのが第1ベースです。
- 機関投資家がまだポジションを積み上げている段階(需給が最も引き締まりやすい)
- 市場での認知度が低く、「発見される余地」が大きい
- 上値を抑える利食い売りが少ない
- ブレイクアウト後の上昇幅が最も大きくなりやすい
✅ 第1ベースの理想的なセットアップ
長期の低迷(ステージ1)を経てステージ2に転換した直後。まだ多くの投資家が「本当に上がるのか」と半信半疑な状態。この「疑念の壁をよじ登る」段階が第1ベースです。出来高が急増してブレイクアウトした瞬間が最高のエントリーポイントです。
第2ベース 高い信頼性・まだ十分な上値余地
第2ベースは、第1ベースからのブレイクアウトで20%以上上昇した後に形成されます。
第1ベースに次いで信頼性が高く、実践的に最もエントリーしやすいベースでもあります。
- 第1ベースのブレイクアウトで一部の機関投資家が既に参入済み
- 株価の上昇実績があるため、より多くの機関投資家が注目し始める
- 第1ベースより「実績ある上昇株」として確認しやすい
- フラットベースが出現しやすいのも第2ベース以降
TAT's note
個人的に最も好むのが第2ベースです。第1ベースは「本当に上がるのか」という不確実性が高い分、心理的に保有しにくい場面もあります。第2ベースは1回の実績があるため、ベースの品質を判断する材料が揃っています。第1・第2ベースにエントリーを絞るだけで、勝率と損益比率が大きく改善します。
📘 参考記事: ベースカウントを使った保有銘柄の優先度管理はポートフォリオ全体の設計と合わせて考えます。ポートフォリオ構築もあわせてご覧ください
第3ベース 信頼性が低下・慎重な判断が必要
第3ベースからは、成功率が明確に低下します。
- 既に多くの機関投資家がポジションを保有しており、「売り手」になりうる投資家が増えている
- 株価が相当上昇しているため、新規の買い手が「割高感」を感じやすい
- ブレイクアウト後の上昇幅が第1・第2ベースより小さくなりやすい
- 「レイトステージの失敗(Late Stage Failure)」が起きやすい
⚠ 第3ベースでのエントリーは条件を厳しくする
第3ベースを完全に避ける必要はありませんが、条件を厳しくする必要があります。出来高の乾燥がより明確であること、マーケット全体が強い上昇局面にあること、EPS成長が加速していることなど、複数の条件が揃ったときだけエントリーを検討してください。
第4ベース以降 原則エントリー見送り
第4ベース以降は、オニールを含む多くの成長株投資家が原則としてエントリーを避ける段階です。
- 初期から保有している機関投資家の含み益が非常に大きく、売り圧力が強い
- 業績がまだ良くても「株価が先に天井を打つ」ことが多い
- ブレイクアウトが「クライマックストップ」の引き金になるリスクがある
❌ 「良いパターンに見えるから」と第4ベースを買わない
チャートパターンが完璧に見えても、第4ベース以降では信頼性が大きく低下します。ベースカウントを確認せずにパターンだけを見てエントリーすると、天井付近を掴むリスクが高まります。
📘 関連記事:クライマックストップの見分け方と利確のタイミングは「利確ルール|成長株投資における売りのタイミング」で解説しています。
ベースカウントのリセット
ベースカウントは一定の条件下でリセットされます。
リセットはネガティブな意味ではなく、新たな上昇サイクルの始まりを示すサインとして捉えます。
リセットの条件
ベースカウントがリセットされる条件
- 直近ベースの安値を株価が下回った(アンダーカット):直近のベースで形成した最安値を株価が下回ると、その時点でカウントがリセットされ「第1ベース」に戻る
- ステージ4(下落局面)に転換した後に再びステージ2に戻った:一度下落トレンドに入り、その後再度上昇トレンドに戻った場合は第1ベースから数え直す
アンダーカットによるリセットの例
第3ベースを形成中、ベースの最安値:2,800円
その後株価が2,780円まで下落(最安値を下回る)
→ ベースカウントがリセット → 次に形成するベースは第1ベースとして扱う
なぜアンダーカットがリセットになるのか
ベースの最安値を下回ることは、そのベースで買った投資家が全員損失を抱えることを意味します。
この「売り圧力の解消」によって、需給が一度リセットされ、新たな上昇サイクルへの準備が整います。
✅ アンダーカット後のリセットは強気サイン
第3ベース以降の銘柄が一度アンダーカットして第1ベースにリセットされた場合、再び「新鮮な需給状態」から上昇を始める可能性があります。マーケット全体の調整でアンダーカットが発生し、その後に力強く回復する銘柄は特に注目です。
マーケット調整とベースカウントの関係
マーケット全体(インデックス)が大きく調整した後、多くの銘柄のベースカウントがリセットされます。
これは相場回復後のエントリー機会として非常に重要な現象です。
調整相場でのベースカウントの変化
マーケットが10〜20%以上の調整をした場合:
- 多くの銘柄が直近ベースの安値を割り込む(アンダーカット発生)
- 第3・第4ベースにあった銘柄が一斉にリセットされ第1ベース化する
- 相場回復後、これらの銘柄は「リセット済み第1ベース」として機能する
TAT's note
大きな調整相場(例えばコロナショックや2022年の利上げ相場)の後に力強く回復した銘柄は、多くが「ベースカウントがリセットされた状態」から新たな上昇サイクルを始めています。調整相場で生き残った銘柄のベースカウントを確認し、リセット後の第1ベースを探すことが、相場回復後の最初の仕事です。
📘 関連記事:マーケット局面の判断と相場回復のサインは「フォロースルーデイとは?」で解説しています。
ベースカウントとベースパターンの組み合わせ
ベースカウントはどのパターンでも数えられますが、パターンの種類とベースカウントの組み合わせによって、エントリーの優先度が変わります。
| ベースカウント | 出現しやすいパターン | 優先度 |
|---|---|---|
| 第1ベース | カップウィズハンドル・VCP | 最優先 |
| 第2ベース | フラットベース・カップウィズハンドル・VCP | 優先 |
| 第3ベース | フラットベース・VCP | 条件付きで検討 |
| 第4ベース以降 | どのパターンも | 原則見送り |
特に第1ベースのVCPや第2ベースのフラットベースは、成長株投資における最も信頼性の高いセットアップのひとつです。
📘 関連記事:各パターンの詳細は「VCP」「カップウィズハンドル」「フラットベース」で解説しています。
ベースカウントの実際の確認手順
具体的にどうやってベースカウントを確認するか、週足チャートを使った手順を解説します。
- ステージ2の開始点を特定する:200日線が上向きに転換し、株価がそれを上抜けた週を探す
- 最初のベースを特定する:ステージ2開始後に最初に形成された横ばい・収縮期間を第1ベースとする
- ブレイクアウト後の上昇幅を確認する:ピボットポイントから20%以上上昇したかどうかを確認
- 次のベースが始まった週を特定する:20%以上上昇した後に横ばいが始まった週を第2ベースの開始点とする
- アンダーカットの有無を確認する:途中でベースの安値を割り込んでいた場合はリセット
⚠ 週足チャートで確認することが基本
ベースカウントは日足より週足で確認する方が正確です。日足では短期の上下動がノイズになり、ベースの区切りを誤認しやすくなります。週足で大局を把握し、「20%上昇→新しいベース」の流れを追ってください。
📘 関連記事:ステージ2の判断基準は「株価のステージ分析」で、移動平均線を使ったステージ確認は「移動平均線の使い方」で解説しています。
よくある誤り
❌ ベースカウントを確認せずにパターンだけを見てエントリーする
チャートパターンの識別を覚えたばかりの段階で陥りやすい誤りです。きれいなVCPやカップウィズハンドルに見えても、第4ベースであれば失敗リスクが大幅に高まります。パターン識別とベースカウントは必ずセットで確認してください。
❌ 20%未満の上昇でベースカウントを増やす
ピボットポイントからわずか10〜15%上昇して次のベースに入った場合、これは新しいベースではなく前のベースの延長です。20%未満の場合はカウントを増やさず、同じベースカウントのままにします。
❌ アンダーカットをネガティブにだけ捉える
アンダーカットが発生すると「損切り」になることが多いため、ネガティブな印象を持ちやすいです。しかし、アンダーカットによってベースカウントがリセットされることは、その後の上昇に向けた需給の健全化を意味します。リセット後の第1ベースとして再度注目する視点を持ってください。
❌ 第3ベースを「経験があるから安全」と考える
「2回成功したから3回目も大丈夫」という心理は危険です。むしろ逆で、回数が増えるほど失敗率が上がります。第3ベースは「経験値」ではなく「蓄積されたリスク」として捉えてください。
まとめ|ベースカウント確認チェックリスト
ベースカウント確認チェックリスト
- 週足チャートでステージ2の開始点を特定したか
- 最初のベースを第1ベースとして正しく識別したか
- 各ブレイクアウト後にピボットから20%以上上昇したかを確認したか
- 途中でアンダーカット(ベース安値割れ)が発生していないか
- 現在のベースが第何ベースかを正確に把握しているか
- 第3ベース以降の場合、エントリー条件を厳しくしているか
- 第4ベース以降の場合、見送りを検討しているか
ベースカウントは、同じパターンを見ながらも「今が買うべきタイミングかどうか」を判断するための重要なフィルターです。
第1・第2ベースに絞ってエントリーするだけで、成功率と損益比率が大幅に改善します。
パターン識別と合わせてベースカウントを習慣的に確認することで、より精度の高いエントリー判断ができるようになります。
FAQ
Q:ステージ2の開始点はどこで判断すればよいですか?
A:200日線が下向きから上向きに転換し、株価が200日線を上回った時点がステージ2の開始点の目安です。より厳密には、ミネルヴィニのトレンドテンプレートの条件(株価が150日線・200日線の上、50日線が200日線の上など)が揃った時点を起点にします。詳しくは「株価のステージ分析」を参照してください。
Q:ベースカウントは銘柄ごとに異なりますか?
A:はい、銘柄ごとに異なります。同じ時期でも、A社が第1ベースにいる一方でB社が第3ベースにいることは普通です。また、マーケット全体の調整でリセットが起きるため、同じ銘柄でも時期によってベースカウントが変わります。スクリーニングの際は必ず個別に確認してください。
Q:第1ベースはどうやって見つければよいですか?
A:週足チャートで数年分を表示し、200日線が上向きに転換した時点から遡って最初の横ばい・収縮期間を探します。長期チャートを見ることで、ステージ1(底値圏)からステージ2への転換点が見えやすくなります。また、52週高値圏にある銘柄のうち、直近1〜2年で大きく上昇した実績のある銘柄は第1ベースや第2ベースの候補になりやすいです。
Q:ベースカウントが不明確な場合はどうすればよいですか?
A:判断に迷う場合は「見送り」が最善です。「これが第1ベースか第2ベースか曖昧」という状況では、エントリーの確信を持てません。成長株投資において「わからない」は「やめる」と同義です。明確に第1・第2ベースと判断できる銘柄に絞ることで、結果的にパフォーマンスが向上します。
InvestorTATでは、ベースカウントを含むチャートパターンの条件を満たした銘柄をオニール/ミネルヴィニのスクリーニングで毎日自動抽出しています。月額880円で全データ・レポートにアクセスできます。
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