2026年6月に第1回、2026年7月に第2回を公開した「配信銘柄の3ヶ月追跡レポート」の第3回をお届けします。
今回は2026年4月配信の64銘柄を3ヶ月追跡した結果です。
この記事の見どころは大きく2つあります。
🎯 見どころ①:3コホート目にして初の統計的優位を確認
64銘柄の平均リターン +4.14%、勝率 51.6%。前2コホート(202602: -1.24%、202603: -5.07%)と比べて明確なプラスに転じています。ただしこれは相場環境の追い風によるところも大きく、それだけで判断すべきではありません。
🚀 見どころ②:分析手法を大幅アップデート
今回から「事後に勝った業種」ではなく「配信時点の業種RS中央値」で強い業種を定義します。これにより、実運用でそのまま参考にできる指標に生まれ変わりました。この新しい切り口で、勝率 80%、複合条件では勝率 88.9%という結果が浮かび上がっています。
データは全て公開します。
都合の良い数字だけを切り取ることはしません。
このレポートの前提と計算ルール
誠実な分析を保証するため、計算ルールを毎回明示します。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 対象 | 2026年4月の週次レポートで配信した全銘柄 |
| 銘柄数 | 64銘柄(重複排除後) |
| 配信日 | 2026-04-03、04-10、04-17、04-24 の4回 |
| 基準値 | 週次レポート配信前日(金曜日)の終値 |
| 評価値 | 基準日から63営業日後(≒3ヶ月後)の終値 |
| スクリーニング条件 | RS 80以上・EPS前年比+20%以上・売上高前年比プラス・時価総額1,000億円以下(他) |
| 除外なし | 勝った銘柄も負けた銘柄もすべて含む(チェリーピッキングなし) |
スクリーニングの詳細ロジックは第1回記事で全公開しています。
【重要】分析手法のアップデート|「事後の勝ち業種」から「配信時の業種RS中央値」へ
第3回で最も大きい変更点は分析の切り口です。
ここは少し長くなりますが、非常に重要なポイントなので丁寧に説明させてください。
これまでの分析の限界
第1回・第2回では、「業種別のパフォーマンス」を集計する際に、3ヶ月後の実績で「勝った業種」を強い業種と定義していました。
結果は下記のようになります。
⚠️ 従来の分析の弱点
「事後に勝った業種」を強い業種とみなす方法は、その情報を配信時点では持っていないため、実運用でスクリーニングの参考にすることができません。統計学の言葉で言えば「look-ahead bias(未来情報バイアス)」が入り込みます。
簡単に言えば、「後から見ればあの業種が勝ってた」という気付きは、これから買おうとしている投資家には何の役にも立たないということです。
今回からの新アプローチ
今回からは、「配信時点で公開されていた業種別RS中央値」を使って業種の強弱を判定します。
これは、サイトの業種RSページで毎週公開しているデータそのものです。
読者の皆さんが実際に画面で見て判断できる指標です。
✅ 新アプローチの意義
「配信時の業種RS中央値」で分けることで、この分析結果はそのまま次回以降の銘柄選定の参考にできるものになります。「業種RS 70以上の中の銘柄RS 90以上を選ぶ」といった実運用ルールが、この記事から自然に導けます。
look-ahead biasを排除した分析、というと少し堅苦しい響きですが、本質は「未来の情報を使わず、今知れる情報だけで判定する」ということです。
金融データ分析ではごく基本的な原則ですが、投資メディアのバックテストではしばしば軽視されがちです。誠実な追跡データを謳う以上、この点を明確にすべきと考えました。
全体結果サマリー|64銘柄の3ヶ月パフォーマンス
まず、64銘柄の全体的な結果です。
📊 全体結果
| 平均上昇率 | +4.14% |
| 中央値 | +2.71% |
| 勝率(+0%超) | 51.6%(33銘柄) |
| +20%以上達成 | 12銘柄(18.8%) |
| +50%以上達成 | 2銘柄(3.1%) |
| +100%以上達成(テンバガー候補) | 1銘柄(1.6%) |
| -30%以下 | 1銘柄(1.6%) |
3コホート連続の中で初めて平均と中央値がプラスに転じた結果になりました。
勝率51.6%も、投げ売り込みで見れば「イーブンよりやや勝ち」の水準です。
ただし、後述するようにこの平均+4.14%は「相場全体の追い風」の寄与が大きく、額面通りに評価すべきではありません。
大切なのは、この中で"どのタイプの銘柄"が勝っていたのか、を分解することです。
マーケット文脈|日経+15.6% vs グロース250 -9.1%の二極化継続
第2回と同様、2026年4月〜7月も日本株市場は大型株と中小型グロース株の二極化が明確な期間でした。
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| 指数 | 4/3 → 7/29 | 評価 |
|---|---|---|
| 日経平均 | +15.64% | 大幅上昇 |
| TOPIX | +9.02% | 上昇 |
| 東証グロース市場250指数 | -9.14% | 大幅下落 |
興味深いのは、日経平均が15.6%も上がった時期に、時価総額1,000億円以下がターゲットのグロース市場は9%以上下落していたという事実。当社の追跡対象は主に中小型グロース株なので、実は本コホートも「逆風の中で戦った結果」と評価するのが正確です。
それでも平均+4.14%を出せたのはなぜか。
「相場全体の追い風」ではなく、「銘柄選定と業種選定が機能した」ケースがあったと推測できます。
以降のセクションで、その内訳を解きほぐしていきます。
リターン分布とTOP銘柄
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分布を見ると、これまでのコホートと比べて「マイナス圏に大きな塊、プラス圏にも比較的多く」という、比較的健全な二山型に近づきました。
ゼロ%を境にほぼ均等に分かれています。
大化けTOP10
| 銘柄 | リターン | 業種 | RS変化 |
|---|---|---|---|
| 3449 テクノフレックス | +109.7% | 建設・資材 | 96→99 |
| 6597 HPCシステムズ | +51.3% | 電機・精密 | 93→96 |
| 6997 日本ケミコン | +49.1% | 電機・精密 | 95→98 |
| 8344 山形銀行 | +40.6% | 銀行 | 93→97 |
| 4320 CEホールディングス | +37.6% | 情報通信・サービスその他 | 93→97 |
| 2354 YE DIGITAL | +34.8% | 情報通信・サービスその他 | 81→94 |
| 6617 東光高岳 | +32.8% | 電機・精密 | 97→98 |
| 8343 秋田銀行 | +29.1% | 銀行 | 93→96 |
| 4691 ワシントンホテル | +26.3% | 情報通信・サービスその他 | 87→94 |
| 8367 南都銀行 | +25.4% | 銀行 | 92→94 |
💎 気づき:TOP10のうち3銘柄が「銀行」セクター
テクノフレックスの+109.7%は突出していますが、それを除いても銀行3行(山形・秋田・南都)がランクイン。しかも配信時のRSがどれも90超え。この時期、地銀が業種として非常に強かったことが、次のセクションで明らかになります。
【新分析①】配信時の業種RS中央値が結果を決めていた
ここからが本記事の中核です。「配信時の業種RS中央値」で銘柄をグループ分けすると、驚くほど明確な相関が浮かび上がります。
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| 配信時の業種RS中央値 | 銘柄数 | 平均リターン | 中央値 | 勝率 | +20%達成率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜40(弱い業種) | 14 | +0.92% | -4.23% | 35.7% | 21.4% |
| 40-55 | 12 | -4.10% | -3.46% | 33.3% | 0.0% |
| 55-70 | 16 | +0.39% | +0.92% | 50.0% | 6.2% |
| 70-85(強い業種) | 11 | +9.82% | +3.48% | 63.6% | 36.4% |
| 85超(超強い業種) | 9 | +20.76% | +18.55% | 100.0% | 44.4% |
🎯 圧倒的な差
・「業種RS 70以上(強い業種)」の20銘柄: 平均+14.74% / 勝率80.0%
・「業種RS 70未満(普通〜弱い業種)」の42銘柄: 平均-0.71% / 勝率40.5%
配信時点のたった1つの数字で判別可能な「業種RS」で、平均リターンに15ポイント以上の差が生まれています。
特に印象的なのは、業種RS 85超(超強い業種)の9銘柄が全員プラス(勝率100%)で平均+20.76%を叩き出したこと。
これはたまたまではなく、強い業種の中の強い銘柄は本当に強かったという、オニールが繰り返し言っていた原則そのものです。
【新分析②】銘柄RS × 業種RS の組み合わせで勝率88.9%
もう一つの重要な視点は、「銘柄RS」と「業種RS」を組み合わせることです。
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| 条件 | 銘柄数 | 平均リターン | 中央値 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 銘柄RS 90+ × 業種RS 70+ | 18 | +17.54% | +17.98% | 88.9% |
| 銘柄RS 90+ × 業種RS 70未満 | 23 | -2.55% | -5.50% | 39.1% |
| 銘柄RS 80-89 × 業種RS 70+ | 2 | -10.46% | -10.46% | 0.0% |
| 銘柄RS 80-89 × 業種RS 70未満 | 19 | +1.51% | -0.86% | 42.1% |
💡 4象限の意味
- 銘柄RS 90+ × 業種RS 70+: 業種も銘柄も強い"最強の組み合わせ" → 勝率88.9%・平均+17.54%
- 銘柄RS 90+ × 業種RS 70未満: 銘柄は強いが業種の逆風 → 勝率39.1%・平均-2.55%
- 銘柄RS 80-89 × 業種RS 70+: 業種は強いが銘柄が弱め → 銘柄数少ないが苦戦
- 銘柄RS 80-89 × 業種RS 70未満: 両方普通 → 平均は僅かにプラスだが勝率42.1%と半数割れ
このマトリクスから読み取れる本質は、「銘柄が強いだけでは勝てない」ということ。業種RSが70未満の環境では、銘柄RSが90+でも平均マイナスに沈みます。
シミュレーションで見る「条件別の差」
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| スクリーニング条件 | 銘柄数 | 平均 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 全64銘柄(均等買い) | 64 | +4.14% | 51.6% |
| 銘柄RS 90以上(単独) | 43 | +5.98% | 58.1% |
| 業種RS 70以上(単独) | 20 | +14.74% | 80.0% |
| 銘柄RS 90+ × 業種RS 70+ | 18 | +17.54% | 88.9% |
銘柄RSだけを見ても平均+5.98%止まりですが、業種RSを組み合わせると平均+17.54%まで跳ね上がるという結果になっています。
銘柄RS単独の限界と、業種RSを組み合わせる意義
参考までに、銘柄RS単独の分析結果も見ておきます。
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| 銘柄RS | 銘柄数 | 平均 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 80-85 | 11 | +1.29% | 36.4% |
| 86-90 | 12 | -1.78% | 41.7% |
| 91-95 | 20 | +9.33% | 55.0% |
| 96-100 | 21 | +4.06% | 61.9% |
🎯 見えてくる真実
第1回・第2回では「銘柄RS 96以上」が突出して強かったのに、今回はRS 91-95のグループの方が平均+9.33%と好調でした。
「銘柄RSが高いほど良い」という単純な関係だけではないということです。銘柄RS単独では、コホートによってブレます。「業種の強さ」を組み合わせて初めて安定した結果が得られる、というのが今回のコホートで判明した重要な事実です。
配信時業種RS TOP5と、銘柄選定の追加リクエスト
4月の各配信週で、業種RSが最も高かった業種TOP5を並べておきます。
| 配信日 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4/3 | 銀行 91 | エネルギー資源 88 | 電力・ガス 81 | 電機・精密 73 | 機械 69 |
| 4/10 | 銀行 91 | エネルギー資源 85 | 電力・ガス 77 | 電機・精密 76 | 機械 71 |
| 4/17 | 銀行 91 | エネルギー資源 86 | 電機・精密 78 | 電力・ガス 73 | 機械 69 |
| 4/24 | 銀行 88 | エネルギー資源 82 | 電機・精密 80 | 電力・ガス 72 | 機械 69 |
⚠️ 気づいた課題:エネルギー資源セクターがゼロ配信
4月の4週間、エネルギー資源セクターは4週連続で業種RS 2位だったにも関わらず、当社の週次レポートには1銘柄も含まれていませんでした。これはスクリーニング条件(時価総額1,000億円以下・EPS成長率20%以上)とセクターの性質のミスマッチが原因と思われます。
今回の学びを踏まえ、「業種RSが上位の業種で、当社レポートに全く出てこないものがある」という点は今後の改善対象として認識しました。次回以降の週次レポート精査で対応を検討します。
逆に配信数の多い業種として、電機・精密・情報通信サービス・銀行あたりが読者の目に触れる機会が多い状況です。
シリーズ横断サマリー|3コホートで見えてきた「勝つ条件」
| 指標 | 第1回 (202602) |
第2回 (202603) |
第3回 (202604) |
|---|---|---|---|
| 対象銘柄数 | 144 | 81 | 64 |
| 平均リターン | -1.24% | -5.07% | +4.14% |
| 勝率 | 31.2% | 23.5% | 51.6% |
| グロース250(同期間) | +6.84% | -6.30% | -9.14% |
| 銘柄RS 96+群 平均 | +4.05% | +11.05% | +4.06% |
| 今回★ 業種RS 70+群 平均 | - | - | +14.74% |
💡 3コホートで確認された共通パターン
- 均等買いはグロース250と同水準またはやや劣後。機械的スクリーニングだけでは統計的優位性は生まれない
- 銘柄RS単独の効果はコホート依存。特に96超群は第2回で+11%だが、他コホートでは平均程度
- 【新】業種RS中央値による選別は非常に強い効果。第3回では業種RS 70+群だけで+14.74%
- マーケット逆風下でも「業種の強い銘柄」は勝てる。グロース250 -9.14%の環境で業種RS 70+群が+14.74%
第2回までの「銘柄RS 96以上を選ぼう」から、第3回では「業種RS 70以上の中の銘柄RS 90以上を選ぼう」へと、より実運用しやすい指針が見えてきました。
まとめ|第4回以降で継続検証したい仮説
今回のコホートで浮かび上がった重要な仮説を、第4回以降で継続検証していきます。
🔬 検証したい仮説
- 業種RS 70以上フィルタは他コホートでも有効か? 第1回・第2回のデータで遡及検証も可能。次回記事で扱う予定です
- 「銘柄RS 90+ × 業種RS 70+」の複合条件は継続的に機能するか? 勝率88.9%は第3回だけの偶然か、それとも再現するか
- 業種RSが高いのに配信0本の業種にどう対応するか(今回のエネルギー資源のケース)
- 「業種RSトップの業種が変わるスピード」の速度感。追い越しが起きた瞬間に切り替える運用は可能か
本サービスの週次レポートは、「候補銘柄の抽出」までを機械化しています。
しかし最終的な銘柄選定・エントリータイミング・撤退判断は、人間の目で行うことが前提です。
今回の結果はまさにその設計思想を裏付けるもので、「業種RS」というシンプルな1つの指標を追加するだけで、勝率が飛躍的に変わることが示されました。
次回、第4回のコホート追跡は2026年5月配信分になります。より多くのデータが揃うほど、"勝つ条件"の再現性を確かめられます。次回もぜひご期待ください。
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