目次
- 1 はじめに|業界初の「全銘柄追跡レポート」公開の背景
- 2 このレポートの前提と計算ルール
- 3 【新】週次レポートのスクリーニング基準(全公開)
- 4 全体結果サマリー|144銘柄の3ヶ月パフォーマンス
- 5 ベンチマーク対比|東証グロース市場250指数との比較
- 6 分布で見る「平均」と「中央値」の謎(ヒストグラム)
- 7 大化け銘柄TOP4の徹底分析(次回深掘り予告)
- 8 データから見えた「5つの仮説」|なぜアンダーパフォームしたか
- 9 「もし条件を変えていたら」シミュレーション
- 10 次の改善方針|「機械の精度」と「人間の判断支援」の両輪
- 11 6ヶ月後・12ヶ月後の再追跡予告
- 12 まとめ|「機械」と「人間」の役割分担という設計思想
はじめに|業界初の「全銘柄追跡レポート」公開の背景
「成功した銘柄ばかり宣伝してるけど、失敗した銘柄はどれくらいあるんだろう?」
「実績って結局、都合のいい数字だけじゃないか?」
この疑問は当然です。なぜなら、多くのサービスが成功事例だけを切り取って宣伝する「チェリーピッキング」を行っているからです。
負けた銘柄は黙殺、勝った銘柄だけを声高に宣伝。これでは本当のパフォーマンスは見えません。
InvestorTATでは、この業界慣習に終止符を打ちたいと考えています。
今回から開始する「追跡レポート」シリーズでは、過去の週次レポートで配信した銘柄を、一切の選別なくすべて追跡し、3ヶ月後・6ヶ月後・12ヶ月後のリターンを完全に公開していきます。
記念すべき第0回となる本記事では、2026年2月に週次レポートで配信した144銘柄(重複排除後)の3ヶ月追跡結果をすべてお伝えします。
良い数字も悪い数字も、隠さず全部出していきます。
このレポートの前提と計算ルール
誠実な分析を保証するため、計算ルールを冒頭で明示します。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 対象 | 2026年2月の週次レポートで配信した全銘柄 |
| 銘柄数 | 144銘柄(重複排除後) |
| 重複処理 | 同一銘柄が複数回登場した場合、初回登場日を採用 |
| 基準値 | 週次レポート配信前日(金曜日)の終値 |
| 評価値 | 基準日から63営業日後(≒3ヶ月後)の終値 |
| ターゲット銘柄 | 時価総額1,000億円以下の中小型株(日経平均225銘柄は含まれない) |
| 除外なし | 勝った銘柄も負けた銘柄もすべて含む(チェリーピッキングなし) |
1ヶ月=21営業日とする本サイト共通の定義に基づき、3ヶ月=63営業日後を評価時点としています。
対象とするのはこれらのレポートです。
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《限定記事》【2026/02/02~2026/02/06】週次レポートV4 (81銘柄)
続きを見る
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《限定記事》【2026/02/09~2026/02/13】週次レポートV4 (102銘柄)
続きを見る
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《限定記事》【2026/02/16~2026/02/20】週次レポートV4 (96銘柄)
続きを見る
【新】週次レポートのスクリーニング基準(全公開)
「他社サイトはここまで開示しない」と言われるかもしれませんが、誠実な追跡レポートを謳う以上、選定ロジックも完全に開示します。
これがどの銘柄を拾い、どの銘柄を見送ったかの「設計図」です。
ステップ1:対象銘柄の母集団
すべての銘柄から始めるのではなく、まず以下のいずれかに該当する銘柄を母集団とします。
- 監視銘柄に登録されている(オニール銘柄 or ミネルヴィニ銘柄)
📝 用語解説
・オニール銘柄:直近四半期決算で売上高とEPSがともに+20%以上の銘柄
・ミネルヴィニ銘柄:トレンドテンプレートの全8条件を満たす銘柄
ステップ2:シグナルフィルター(テクニカル①)
母集団のうち、以下のいずれかのシグナルを満たした銘柄が次に進みます。
- 52週高値を更新
- 52週高値付近(5%圏内)
ステップ3:テクニカル詳細フィルター
以下の全条件を満たした銘柄が次に進みます。
- 直近のレラティブストレングス(RS)が80以上
- 直近の株価高値 > SMA10(10日単純移動平均)
ステップ4:ファンダメンタル詳細フィルター
以下の全条件を満たした銘柄のみが、週次レポートに追加されます。
- 直近の四半期決算のEPS前年同期比 ≧ +20%
- 直近の四半期決算の売上高前年同期比 > 0%
- 直近5年 + 次期予想の年間売上高と年間EPSの両方が上昇トレンド ※次期予想なしの場合は直近5年のみで判定
- 時価総額1,000億円以下
本サービスの設計思想:「広く拾い、人間が選別する」
ここで重要な前提を共有します。
本サービスのスクリーニングは、意図的に「間口を絞りすぎない」設計になっています。
🎯 設計思想の3原則
- 機械的フィルタは「候補抽出」まで。最終判断は読者自身が行う
- 絞りすぎはチャンスを潰す。条件を厳しくしすぎると、機械では見抜けない「光る銘柄」を除外してしまう
- 人間にしかできない判断を残す。チャートの目視確認、ニュース調査、定性評価などは人間に委ねる
例えば、本記事で後に挙げる「仮説4:ベースパターンチェックがない」「仮説5:ニュース・カタリスト不在」という弱点は、意図的に機械化していない部分です。
理由:以下の2つです。僕自身も毎日コツコツチェックしています。
- ベースパターン(VCP・カップウィズハンドル等)の判定:レポートにはチャートも掲載しています。そこで読者がベースパターンの良し悪しを目視判断していただく前提です
- ニュース・カタリスト:機械的に取り込むのは技術的にも難しく、また「本当に重要なカタリストか」の判断はAIには時期尚早。読者ご自身による調査をお願いしています
⚠️ 配信時の注意書き(毎週レポートに記載)
「機械的なスクリーニングだけでは見えないものがあります。ニュース・カタリスト・業界動向まで含めた最終判断は、ご自身で必ず行ってください。本リストはあくまで『候補』であり『推奨』ではありません」
つまり、今回ご紹介する「144銘柄を均等保有した場合のリターン」は、本サービスの正しい使い方ではないということを先にお伝えしておく必要があります。
本来は「この144銘柄から、チャート・ニュース・業績の質を精査して、自分の判断で5〜8銘柄に絞り込む」のが想定された使い方です。
ただ、それでもこの追跡レポートを公開する意義は大きいと考えています。「機械的フィルタの実力」と「人間判断の必要性」を、データで可視化できるからです。
全体結果サマリー|144銘柄の3ヶ月パフォーマンス
まず結論から。2026年2月配信の144銘柄の3ヶ月後パフォーマンスは以下の通りです。
📊 全体結果
| 平均上昇率 | -1.24% |
| 中央値 | -11.13% |
| +20%以上達成 | 19銘柄(13.2%) |
| +50%以上達成 | 8銘柄(5.6%) |
| +100%以上達成(テンバガー候補) | 4銘柄(2.8%) |
正直にお伝えします。全体パフォーマンスはマイナスです。
一部の大化け銘柄が4銘柄出ているものの、平均すれば微減、中央値で見れば10%超の下落となっています。
「うまくいかなかった」と言わざるを得ない結果です。
なぜこの数字になったのか、なぜ平均と中央値に大きな差があるのか、後のセクションで詳しく分析します。
ベンチマーク対比|東証グロース市場250指数との比較
「全体マイナス」と言われても、相場全体が下落していれば話は別です。同期間の主要指数とのリターンを比較します。
当社のターゲットは時価総額1,000億円以下の中小型成長株。最も比較対象として適切なのは東証グロース市場250指数です。
日経平均(大型株中心)やTOPIX(プライム全銘柄)は、ターゲットセグメントが異なるため参考程度の比較になります。
| 指標 | 3ヶ月リターン | 144銘柄との差 |
|---|---|---|
| 東証グロース市場250指数(最適ベンチマーク) | +6.84% | -8.08pt |
| TOPIX | +2.28% | -3.52pt |
| 日経平均 | +12.58% | 参考値(セグメント異なる) |
| 144銘柄(平均) | -1.24% | - |
適切なベンチマークである東証グロース市場250指数(+6.84%)に対して8ポイント超のアンダーパフォームという結果です。
「中小型株市場全体が下落していたので苦戦した」という言い訳もできません。
グロース市場は健闘していたのに、144銘柄を均等保有していたら市場平均にも届かなかったというのが事実です。
📌 重要な前提の再確認
先のセクションでお伝えした通り、本サービスは「144銘柄を均等保有する」前提では設計されていません。本来の使い方は「リストから読者自身が5〜8銘柄を選別する」こと。
ですから、この-8.08ptという数字は「スクリーニングの設計が間違っている」ことを意味するのではなく、「機械的フィルタだけで均等買いするとこうなる、だから人間の選別が必要」という当然の結果を示しているとも言えます。
次のセクションでは、この「人間の選別」がなぜ機能するのかを、平均と中央値のギャップから見ていきます。
分布で見る「平均」と「中央値」の謎(ヒストグラム)
ただし、ここで重要な数字に注目してください。
平均:-1.24%
中央値:-11.13%
ギャップ:約10ポイント
144銘柄のリターン分布を可視化すると、このギャップの正体が一目で分かります。
![]()
具体的な分布は以下の通りです:
| リターン帯 | 銘柄数 | 割合 |
|---|---|---|
| -30%以下 | 6 | 4.2% |
| -30〜-20% | 28 | 19.4% |
| -20〜-10% | 43 | 29.9% |
| -10〜0% | 22 | 15.3% |
| 0〜+10% | 16 | 11.1% |
| +10〜+20% | 10 | 6.9% |
| +20〜+50% | 11 | 7.6% |
| +50〜+100% | 4 | 2.8% |
| +100%超 | 4 | 2.8% |
平均より中央値の方が約10ポイント悪い。これは何を意味するでしょうか?
答えは、「ごく一部の大化け銘柄が、平均を大きく引き上げている」ということです。
リターン分布が「右に長い裾」を持つ形になっているのです。
具体的には、144銘柄の大半は中央値である-11%付近に分布しており、これがリストの「素のパフォーマンス」。
そこに+100%以上の大化け銘柄4本が混ざることで、平均が-1.24%まで引き上げられています。
これは奇しくも、ウィリアム・オニールやヘンドリック・ベセンビンダー教授(テキサス大学)が指摘してきた事実そのものです。
「米国上場銘柄のうち、わずか4%の銘柄が、株式市場の純利益のすべてを生み出した。残り96%の累積リターンはゼロまたはマイナス」
— Bessembinder (2017)『Do Stocks Outperform Treasury Bills?』
つまり、「リスト全体を均等に保有する」ことには意味がありません。
重要なのは、リストの中から大化け候補をいかに選別し、損切りルールで損失を限定するかです。
言い換えれば、今回の-1.24%という数字は、「均等保有戦略の結果」であり、「正しく選別すれば違う結果になり得る」ことを示しているとも言えます。
大化け銘柄TOP4の徹底分析(次回深掘り予告)
では、+100%以上の上昇を達成した4銘柄は、どのような特徴を持っていたのでしょうか?
これら4銘柄については、次回以降の記事で1銘柄ずつ徹底分析を行います。
本記事では概要のみ予告として紹介します。
| 順位 | 銘柄コード | 銘柄名 | 3ヶ月上昇率 | RS変化 | 業種 | 市場 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 3449 | テクノフレックス | +180.57% | 92 → 99 (+7) | 建設・資材(金属製品) | スタンダード |
| 2位 | 6997 | 日本ケミコン | +156.36% | 89 → 99 (+10) | 電機・精密(電気機器) | プライム |
| 3位 | 6387 | サムコ | +133.59% | 93 → 99 (+6) | 機械 | プライム |
| 4位 | 3294 | イーグランド | +114.22% | 81 → 98 (+17) | 不動産(不動産業) | スタンダード |
4銘柄に共通する興味深い特徴がいくつかあります。
🔍 大化け4銘柄の共通点
- 3/4が製造業(建設資材・電機・機械) — 業績ドリブンの実需セクター
- 全員が配信時RS = 81〜93、評価時RS = 98〜99 → 全員RSを大きく上げている
- 市場区分は混在(プライム2本・スタンダード2本) — 市場区分だけでは判別できない
- イーグランド(4位)は配信時RS=81とギリギリ通過 — もしRS閾値を厳しくしていたら拾えなかった可能性
特に注目したいのは 「全員がRSを上げている」 という点。
これはオニールの「強い銘柄はさらに強くなる(Run with winners)」理論を完璧に裏付けています。
これらの銘柄については、次回以降の記事で1銘柄ずつ徹底分析していきます。
「なぜこの銘柄は上がったのか」「事前に見抜くサインはあったのか」を、業績・チャート・需給の3軸から分析する予定です。
データから見えた「5つの仮説」|なぜアンダーパフォームしたか
スクリーニング基準を全公開した上で、今回のデータから「なぜ-1.24%だったか」の仮説を5つ立てます。
これらは次の改善ポイントの根拠となります。
仮説1:M条件(市場全体の方向性)フィルタが欠落していた ← 最大の犯人
現状のスクリーニングは個別銘柄の条件(52週高値・RS・業績)に集中しており、市場全体の方向性(ディストリビューションデイ累積、フォロースルーデイ発生など)をチェックする条件が一切ありません。
2026年2月の相場を振り返ると、東証グロース市場250指数は2/6→2/27の3週間で +9.4% と急騰していました。
これは「中小型株も既に高値圏」で、配信した銘柄たちは「天井圏でブレイク → 配信後に調整」というパターンに陥った可能性が高い。
オニールのCAN-SLIM理論では、M(Market Direction)こそが最重要条件とされています。
InvestorTATのスクリーニングがここを機械化できていなかったのは、明確な弱点です。
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仮説2:「52週高値付近5%圏内」が広すぎる
5%圏内という条件は、過去にブレイクして既に5%戻している銘柄も拾ってしまいます。
本来狙いたい「ブレイク直前」の銘柄に絞るなら、3%圏内(あるいは1%圏内+出来高条件)に絞り込むべきかもしれません。
仮説3:RS80以上は緩い、「86以上」が望ましい
今回のデータから、最も強烈な改善余地として浮かび上がったのが「RS閾値の引き上げ」です。
配信時RS(rs0)の強度別にパフォーマンスを分けてみると、明確な傾向が見えます。
![]()
| 配信時RS | 銘柄数 | 平均 | 中央値 | 勝率 | +20%達成 | +100%達成 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 80-85(弱い) | 40 | -6.80% | -12.27% | 17.5% | 5.0% | 2.5% |
| 86-90 | 38 | -0.70% | -9.26% | 39.5% | 13.2% | 2.6% |
| 91-95 | 40 | +0.35% | -12.03% | 27.5% | 12.5% | 5.0% |
| 96-100(強い) | 26 | +4.05% | -0.40% | 46.2% | 26.9% | 0.0% |
注目すべきは、RS 80-85群の40銘柄(全体の28%)が平均-6.80%・勝率17.5%と明確に弱いことです。
一方、RS 86以上の104銘柄に絞ると、平均+0.89%とプラスに転じます(後述のシミュレーション参照)。
RS 96-100ではさらに平均が上がります。
ただし、絞り込みすぎには罠もあります。
例えば配信時RS=81だったイーグランド(+114%)はRS閾値を86に上げると除外されてしまいます。
「閾値を上げる効果」と「大化け銘柄を逃すリスク」のトレードオフを、後ほどシミュレーションで詳しく検証します。
仮説4:ベースパターン判定は意図的に「人間」に委ねている
52週高値という「結果」を見ていますが、その高値が以下のどちらから来ているかは機械的に区別していません。
- 正しいベースから上抜けたブレイク(VCP・カップウィズハンドル・フラットベース) → 高確率で継続上昇
- ロングランの最終局面(クライマックスラン)からの上抜け → 配信直後に下落しやすい
ただし、これは「実装漏れ」ではなく「意図的な設計判断」です。
週次レポートには各銘柄のチャートも併載しており、ベースパターンの良し悪しは読者ご自身に目視で判断していただく前提になっています。
パターン判定を機械化するアプローチもありえますが、ベース形成の善し悪しは、ピボットポイントの微妙な位置・出来高の質・取っ手の角度など、機械化が難しい繊細な要素の組み合わせです。
誤判定で「光る銘柄を除外」するリスクを取るより、チャートを見せて人間に判断してもらう方が現実的な選択肢だと考えています。
もし今回の144銘柄から「正しいベースから抜けた銘柄」だけを目視で選別していたら、リターンは大きく改善していたはずです。
仮説5:ニュース・カタリスト調査も「人間の仕事」として残している
業績だけでなく「なぜ今上がるか」のカタリスト(新製品・大型契約・規制緩和等)がない銘柄は、テクニカル上で52週高値を付けても勢いが続きにくいことが分かっています。
これも、本サービスでは機械化していない領域です。
配信時の注意書きでも繰り返し申し上げていますが、ニュース調査と定性判断は読者ご自身の役割としてお願いしています。
理由は2つ:
- ニュースの「重要度」判定はAIにはまだ早い:表面的なヘッドラインではなく、業界文脈・経営者の発言の裏意図・市場の受け止め方など、人間の判断が不可欠
- 「自分で調べる」が投資家の成長に直結する:人任せの投資は長期的に伸びません。最後の調査は、本人の判断力を養う重要なプロセスです
この設計思想こそが、本サービスを「銘柄推奨サービス」ではなく「銘柄判断を支援するツール」たらしめている本質です。
仮説6(追加):RS変化を追えれば +49.63%、追わなければ -33%
もう一つ、データから浮かび上がった極めて重要な発見があります。
それは、配信時RSと評価時RSの「変化」と、3ヶ月リターンの間に強烈な相関があることです。
![]()
| RS変化(3ヶ月後RS - 配信時RS) | 銘柄数 | 平均リターン |
|---|---|---|
| -60ポイント以下 | 7 | -33.15% |
| -60〜-40 | 16 | -23.19% |
| -40〜-20 | 24 | -17.73% |
| -20〜0 | 71 | -4.80% |
| 0以上(RS維持・向上) | 24 | +49.63% |
RSを維持・向上できた24銘柄は平均+49.63%です。一方、RSが急落する銘柄は大幅マイナスです。
これは投資家にとって 「配信後もRS推移を追えば、勝ち銘柄と負け銘柄を高精度で判別できる」 ことを意味します。
大化け4銘柄全員がRSを大きく上げていた事実と、この相関は完全に整合します。
「強い銘柄はさらに強くなる、弱くなる銘柄は早期撤退」というオニール流の原則を、データが完璧に裏付けています。
この発見は、レポート機能の改善案(後述)にも直結します。
「配信後のRS推移トラッキング」みたいなデータを加えれば、読者は明確な売買判断材料を得られそうな感じがします。
追加発見:市場区分と業種で大きな差
仮説の検証過程で、もう2つ重要な傾向が見えました。
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市場区分の差は22ポイント。同じ「時価総額1,000億円以下」の中でも、プライム上場小型株が圧倒的に強く、グロース上場銘柄は苦戦しています。
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業種別の差は実に40ポイント。
半導体・装置・建機などの機械系(+14.24%)・電機系(+10.93%)が独走する一方、ディフェンシブ銘柄が並ぶ食品(-26.05%)・小売(-20.30%)は厳しい結果になりました。
これらの傾向は、次の改善方針に直結します。
先に、これらを活用した場合のシミュレーションを次セクションで見ていきましょう。
「もし条件を変えていたら」シミュレーション
投資の世界にたらればも何もないのですが、ここまでの仮説を踏まえ、「もしスクリーニング条件を変えていたら、結果はどう変わっていたか?」をシミュレーションしてみました。
これは「機械的フィルタを少し厳格化するだけで、どこまでパフォーマンスが改善するか」を可視化する重要な検証です。
![]()
| シナリオ | 銘柄数 | 平均 | 中央値 | 勝率 | +100%捕捉 | 対BM差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現状(RS80以上) | 144 | -1.24% | -11.13% | 31.2% | 4 / 4本 | -8.08pt |
| RS86以上に引き上げ | 104 | +0.89% | -10.23% | 36.5% | 3 / 4本 | -5.95pt |
| RS91以上に引き上げ | 66 | +1.81% | -11.11% | 34.8% | 2 / 4本 | -5.03pt |
| プライム上場のみ | 43 | +9.34% | +0.55% | 51.2% | 2 / 4本 | +2.50pt |
| 強い5業種のみ | 66 | +8.35% | -9.49% | 39.4% | 3 / 4本 | +1.51pt |
| RS86 × プライム × 強い5業種 | 16 | +25.49% | +10.48% | 56.2% | 2 / 4本 | +18.65pt |
| RS91 × プライム × 強い5業種 | 9 | +29.44% | +28.07% | 55.6% | 2 / 4本 | +22.60pt |
※「+100%捕捉」は元の144銘柄に含まれていた+100%超え4銘柄(テクノフレックス・日本ケミコン・サムコ・イーグランド)のうち、そのシナリオで何銘柄拾えたかを表します。
このシミュレーションが示す3つのこと
💡 発見1:複合フィルタの威力は劇的
RS86以上 × プライム × 強い5業種に絞った16銘柄は、平均+25.49%、勝率56.2%、ベンチマーク比+18.65pt。シンプルな改善で大幅にパフォーマンスが上がる余地が確認できました。
💡 発見2:絞り込みすぎは大化け銘柄を逃すリスク
RS86に上げると、配信時RS=81だったイーグランド(+114%)を取り逃がします。RS91に上げるとさらに日本ケミコン(+156%)まで取り逃がす。「機械的フィルタを厳しくする」だけでは、本当の大化けを逃すリスクがあることを意味します。
💡 発見3:「機械 + 人間」の協業がベスト解
数字だけ見れば「複合フィルタ厳格化が正解」に見えます。しかし大化け銘柄を逃すリスクを考えると、「機械的フィルタは広めに維持しつつ、読者がチャート・業績・市場区分を見て選別する」のが現実的な最適解です。「機械的フィルタの厳格化」と「読者の判断支援」の両輪が必要、という結論にデータが導いてくれました。
次の改善方針|「機械の精度」と「人間の判断支援」の両輪
5つの仮説を踏まえた改善方針は、大きく2つに分かれます。
機械的フィルタを賢くする方向と、読者の判断を支援する情報を増やす方向です。
設計思想(広く拾い、人間が選別する)を維持しながら、両輪で改善していきます。
方針A:機械的フィルタの精度向上(条件追加・調整)
| 優先度 | 改善項目 | 対応する仮説 |
|---|---|---|
| 🥇 最優先 | M条件フィルタの追加:ディストリビューションデイが累積(過去25営業日で5回以上)した時に配信銘柄を半減 or 配信停止。市場逆境時のフィルタ強化 | 仮説1 |
| 🥇 最優先 | RS閾値の引き上げ検討:現状RS80以上→86以上で平均-1.24%→+0.89%に改善。ただし大化け銘柄を逃さないようRS80-85群は除外せず「弱マーク」表示など段階運用も検討 | 仮説3 |
| 🥈 優先 | EPS成長加速の判定追加:絶対値+20%は維持しつつ、「直近の成長率が過去2四半期平均より高い」を加点要素として可視化 | 仮説3 |
| 🥉 中期 | 大化け4銘柄の共通特徴を抽出:成功した銘柄に固有のパターンを逆算し、レポートでハイライト表示 | 全般 |
色々改善ポイントは見えてきますが、絞りすぎて大化け銘柄を逃してしまうということにつながることにもなってしまうので、現在の条件をそこまで変更するつもりはありません。
ただここで見えてきたポイントを把握できるように、例えばレポートの中にディストリビューションの発生回数をまとめたページを冒頭に追加するとか、そういったやり方の方がいいのかなとか色々検討中です。
方針B:読者の判断支援を強化(情報の充実)
機械的フィルタを「絞る」のではなく、読者がチャート・ニュース・業績を判断しやすくする情報をレポートに足していく方向です。
これは設計思想と整合的です。
| 優先度 | 改善項目 | 対応する仮説 |
|---|---|---|
| 🥇 最優先 | 配信後のRS推移トラッキング表示:レポート内で、配信銘柄のRSがその後どう変化したかを追えるようにする。「RSを維持した銘柄は平均+49.63%」というデータが、読者の選別判断を強力にサポート | 仮説6 |
| 🥇 優先 | ベース形成のヒント表示:チャートに「VCP候補」「カップ形成中」「拡張中」などの目印を機械的に表示(判定ではなく候補表示)。読者の目視判断を支援 | 仮説4 |
| 🥈 優先 | 市場区分・業種を見やすく強調表示:プライム/スタンダード/グロースの色分け、強い業種・弱い業種のタグ付け。シミュレーション結果(市場区分で22pt差・業種で40pt差)を視覚的に活かせる | 追加発見 |
| 🥈 優先 | 直近の決算開示・適時開示へのリンク追加:銘柄ごとにTDnetやIRページへの直接リンクを配置。「自分で調べる」のハードルを下げる | 仮説5 |
| 🥉 中期 | 業種別・コホート別の傾向データ可視化:「今週の配信銘柄は◯◯セクターに偏っている」「市場のリスク度はXX」などのコンテキスト情報 | 仮説1関連 |
| 🏅 検討 | 過去配信銘柄の追跡データ常設化:会員ページで「過去の配信銘柄がその後どうなったか」をいつでも確認可能に | 継続改善 |
方針Aは「機械の精度を上げる」、方針Bは「人間の判断材料を増やす」。
両方を進めることで、「広く拾って人間が選別する」設計思想を維持したまま、サービスの質を高めていきます。
これらの改善は、2026年3月配信分の3ヶ月追跡レポート(2026年7月公開予定)から段階的に実装し、改善前後の比較データもお見せしていきます。
💡 読者のみなさんへのお願い
スクリーニング条件・レポート機能の改善案について、ご意見やアイデアがあれば XのDM でお寄せください。読者の声を反映しながら、より良いツールに育てていきます。
「こういう条件もあると良いのでは?」「この情報があると判断しやすい」など、忌憚のないご意見大歓迎です。一緒にこのサービスを育てましょう。
ベース形成のヒント表示については前々からやろうとしていますが、プログラムでどうもいい感じに判定することが難しくてまだ実現に至っていません。。。
6ヶ月後・12ヶ月後の再追跡予告
3ヶ月という時間軸は、成長株投資の評価期間としては短すぎることも明記しておきます。
| 評価期間 | 何が見えるか |
|---|---|
| 3ヶ月 | ベース形成中の銘柄が多い段階。早期動きが見える |
| 6ヶ月 | 動き出した銘柄の差が見えてくる |
| 12ヶ月 | 真の大化け銘柄が判別できる |
レーザーテック(6920)の例で言えば、2018年にCAN-SLIM条件を満たした時点から3ヶ月では+20%程度でしたが、3年後には20倍になりました。
本物の大化け銘柄は時間をかけて育つのです。
今回の144銘柄も、6ヶ月後・12ヶ月後には全く違う数字になっている可能性があります。
今後、以下のタイミングで同じ144銘柄を再追跡していきます。
- 2026年8月:6ヶ月後追跡レポート
- 2027年2月:12ヶ月後追跡レポート
本物の大化け株が出てくるのは、これからかもしれません。
まとめ|「機械」と「人間」の役割分担という設計思想
本記事では、2026年2月の週次レポート144銘柄の3ヶ月追跡結果を、すべて開示しました。
- 平均:-1.24%
- 中央値:-11.13%
- 東証グロース市場250指数(+6.84%)に対し、-8.08ptのアンダーパフォーム
- +100%超え4銘柄
数字だけ見れば「均等保有なら市場平均にも届かなかった」結果です。
ですが、これは本サービスの正しい使い方を反映していません。
本サービスは「広く拾って人間が選別する」設計思想に基づいており、144銘柄から読者ご自身が5〜8銘柄を選別することを想定しています。
では、なぜこの結果を公開するのか。
理由は3つあります。
- 機械的フィルタの限界をデータで可視化したかった。「機械任せでは勝てない」「人間の選別が必要」を、抽象論ではなくデータで示したい
- 大化け銘柄の存在を証明したかった。+100%超え4銘柄が出ているのは、機械的フィルタには候補抽出力はあるという証拠
- 正直さを長期的なブランドにしたい。成功事例ばかり宣伝する業界の中で、負けも勝ちも全部見せるサイトでありたい
株式情報サイト・投資メディアの多くは、成功事例だけを切り取って宣伝します。
僕は違うやり方を選びます。負けも勝ちも、すべて見せた上で、機械と人間の役割分担を進化させていく。
これがInvestorTATの選択です。
同じシリーズの追跡レポートを、毎月(コホート別に)配信していきます。
スクリーニング条件の改善・レポート機能の進化も透明性をもって進めていきますので、ぜひシリーズを継続してチェックしてください。
"Trust takes years to build, seconds to break, and forever to repair."
(信頼は築くのに何年もかかり、壊すのは一瞬で、修復するのには永遠にかかる)
そして最後に、本記事を読んでくださった方へのお願いです。
本サービスを使う時は、ぜひ「自分で調べる」プロセスを大切にしてください。
リストの銘柄を全部買うのではなく、その中からチャート・ニュース・業績の質を精査して、5〜8銘柄に絞り込む。
AIも進化していますし、全部機械で自動で銘柄選定できれば最高なのですが、今のところはまだ難しそうで人間の目によるチェックがとても大事です。
この「最後の判断」こそが、長期的に勝ち残る投資家を育てる本質的な学びになります。
これからも、誠実な情報開示と機能改善を続けていきます。
最後になりますが、本記事でデータのベースとなっている週次レポートはInvestorTAT メンバーシップの週次レポートで配信されたものです。
毎週土曜日、時価総額1,000億円以下の中小型成長株から、独自基準で選定した銘柄をリストアップしています。
もし興味ありましたらこちらから詳細ご確認ください。週次レポート以外にもいろいろなデータを提供しています。
引き続きよろしくお願いいたします。
TAT