投資戦略

PEGレシオとは?PERに成長率を加える考え方(目安と注意点)

PERは便利な指標ですが、成長株を見ていると「高PER=割高?」で判断が止まりがちです。

たとえば、PER40倍でも年30〜40%で利益が伸びる企業と、PER15倍で微増益の企業を比べたとき、PERだけではどちらが割高かを判断しにくい場面があります。

 

そこで役立つのが PEGレシオです。

PEGは PERをEPS成長率で割ることで、「成長性を織り込んだ評価」をざっくり比較できる発想の指標として紹介されています。

 

この記事では、PEGレシオの定義・計算式から、よく使われる目安(1倍基準)、落とし穴、実務での使い方までを整理します。

 

結論:PEGは「PERを成長率で調整」した指標。成長株の比較に便利だが前提に注意

PEGが一番刺さるのは、成長率が違う銘柄同士を比べたいときです。

 

PERは期待を含む倍率なので、高成長企業ほど高PERになりやすく、PER単体だと高成長株が常に割高に見えてしまうことがあります。

そこでPEGで「成長率で補正」して見比べると、納得感が出やすいというわけです。

 

ただし、PEGは万能ではありません。なぜなら 成長率(過去か予想か、何年で見るか) の置き方で数字が大きく変わり、結論も変わるからです

Investopediaも、PEGは成長見通しを織り込む分、見通し(予測)への依存がある点を踏まえて使う必要がある、という趣旨で説明しています。(Investopedia

 

PEGレシオの基本(定義・計算式)

PEGレシオ=予想PER ÷ EPS成長率(%を外して数値化)

PEGレシオ = 予想PER ÷ EPS成長率

 

東証マネ部!では、PEGレシオを 「予想PER ÷ EPS成長率」 として紹介し、成長率は %を外して数値化(例:5%成長→5) する形で説明しています。(東証マネ部!

Investopediaでも、PEGは「P/E(PER)を、一定期間の利益成長率で割る」指標として定義されています。(Investopedia

* PERやEPSについては、過去の「PERとは?」「EPSとは?」をご覧ください。

 

成長率はどれを使う?(過去CAGR/予想CAGR/来期成長率)

PEGで悩むのが「成長率を何で置くか」です。代表的には次の3つです。

  • 過去CAGR(過去3〜5年):数字が安定しやすい一方、将来の変化(加速・減速)を捉えにくい

  • 予想CAGR(今後3〜5年):将来を反映できる一方、予測が外れるとPEG評価が崩れる

  • 来期成長率(1年):直近の勢いは捉えやすいが、単年要因でブレやすい

 

InvestopediaはPEGを「成長率を織り込む」指標として説明しており、成長見通し(予測)への依存がある点を含めて理解するのが重要です。(Investopedia

 

数値例で腹落ち(PERだけでは見えない比較)

  • PER30倍、EPS成長率30% → PEG 1.0

  • PER30倍、EPS成長率15% → PEG 2.0

  • PER15倍、EPS成長率5% → PEG 3.0

 

PERだけを見ると「PER15倍が割安」に見えがちですが、成長率で補正すると成長に対して割高かどうかの見え方が変わります。

これがPEGの狙いです。

 

PEGレシオの目安(よく使われる1倍基準)

一般的な見方:PEG≒1がフェア、1未満は割安、1超は割高の目安

PEGの世界でよく出てくるのが PEG=1前後 という目安です。

Wall Street Prepは、PEGが 1.0xを上回ると割高かもしれず、1.0x未満は割安かもしれない という目安として説明しています。(Wall Street Prep

Investopediaでも、PEGはP/Eだけよりも成長を加味して評価を見られるとして、低いPEGが魅力的に見える文脈で説明されています。(Investopedia

 

大事なのは「断定」ではなく目安。PEGは計算に使う成長率次第で簡単に動きます。

 

ただし「業種・局面」でズレる(盲信しない)

PEGは、成長率が高い業界(例えば成長フェーズのITなど)と、成長率が低い業界で適正レンジが変わります。

さらに市場環境(リスク選好や金利)でPERレンジが動けば、PEGの見え方もズレます。

参考記事: 「PERが上がる/下がる理由(成長率・金利・期待)」「PERとは?

 

PEGが効く場面:PERだけでは判断しにくい成長株の比較

高PERでも高成長なら合理的になり得る

PEGの考え方はシンプルで、「高PER=即NG」と決め打ちせず、成長で補正して評価することにあります。

東証マネ部!でも、PERだけだと成長株が割高に見えやすい場面があり、PEGで成長性を加味する意義が説明されています。(東証マネ部!

 

同業比較での使い方(実務イメージ)

実務で使うなら、PEGは「最終判断」ではなく 候補の優先順位づけ が向いています。

  1. 同業(近いビジネスモデル) で並べる

  2. それぞれの 予想PER成長率(同じ定義で統一) を揃える

  3. PEGで「成長に対して割高すぎない候補」を上位に置く

  4. 最後は決算・ガイダンス・競争優位などで深掘りする

 

注意点(落とし穴):PEGが低い=安全、ではない

落とし穴① 成長率の置き方でPEGが別物になる(予想の不確実性)

PEGは「成長率」が分母なので、予想成長率が少し変わるだけで数字が大きく動きます。

Investopediaの解説でも、PEGは成長見通しを織り込む分、予測(見通し)への依存がある点を踏まえて使う必要があります。(Investopedia

 

落とし穴② EPSの質問題(特別利益・希薄化・会計要因)

PEG以前に、EPSそのものが「実力」を表しているかが重要です。

  • 特別利益でEPSが跳ねていないか

  • 希薄化(株数増)で1株利益が薄まっていないか

  • 会計要因で利益が前倒しされていないか

 

参考記事: 「EPSとは?

 

落とし穴③ 成長率が低い/マイナス、赤字の銘柄では扱いが難しい

  • 成長率が小さいと、PEGが極端に大きくなりやすい

  • 成長率がマイナスだと解釈が難しくなる

  • 赤字(EPSマイナス)だとPER自体が意味を持ちにくく、PEGも機能しにくい(負のPER問題)

 

落とし穴④ PEGの効果は局面依存(補助指標として使う)

PEGは便利な一方で、「いつでも勝てる魔法の指標」ではありません。

たとえば運用会社のコラムでは、PEGのような指標の効果を検証する趣旨で解説が行われており、局面や前提によって見え方が変わることを示唆しています。(ニッセイアセットマネジメント

 

だからこそPEGは、補助輪として使い所を決めて使うのが安全です。

 

実務テンプレ:PEGは「候補の並べ替え」→最後はPER×EPSに戻す

ステップ1:EPS成長の確認(質・継続性)

まずは「EPSが伸びているか」だけでなく、なぜ伸びているか(再現性) を確認します。

→ 参考記事:「EPSとは?

 

ステップ2:PERが乗っている理由を説明できるか

次に「なぜそのPERが許容されているのか」を言語化します。

期待(成長率)なのか、金利環境なのか、リスク低下なのか。

→ 参考記事:「PERとは?」「PERが上がる/下がる理由(成長率・金利・期待)

 

ステップ3:PEGで成長に対して割高すぎないかを点検

ここでPEGを使い、PERが成長に対して過剰かどうかをざっくり点検します。

Wall Street PrepはPEGの目安として1.0xを境にした見方を提示しており、投資家が参考値として使う代表例です。(Wall Street Prep

※ただし盲信せず、同業比較や成長率の定義統一が前提です。

 

ステップ4:親記事で最終チェック(株価=PER×EPS)

最後は、あなたの親記事のフレームに戻します。

株価が上がる要因は EPS要因PER要因 に分解できるので、「どちらで説明できる上昇か」を確認すると納得感が増えます。

→ 参考記事:「株価は「PER × EPS」で決まる

 

成長株投資(CAN SLIM / VCP)との接続(軽めでOK)

オニール:成長(C/A)が主、PEGは高PERの正当化チェックに使える

CAN SLIMの本体は、直近四半期(C)と年次(A)の利益成長です。

PEGは「高PERでも成長が伴っているか?」の補助チェックとして相性が良いです。

 

ミネルヴィニ:高PERを恐れないが、EPS成長が前提。PEGは期待先行の罠回避に

VCPは需給とトレンド重視ですが、形だけで飛びつくと「期待先行」に巻き込まれやすい。

EPS成長でフィルタしたうえで、PEGで成長に対して過熱しすぎていないかを点検する使い方が現実的です。

 

まとめ:PEGは「成長率を入れたPER」。使い所と限界を理解して補助輪にする

  • PEGは、PERの弱点(成長差を無視しがち)を補完する指標

  • ただし前提(成長率の定義、EPSの質)が崩れると機能しない

 

合わせて読みたい記事

株価は「PER × EPS」で決まる

EPSとは?

PERとは?

PERが上がる/下がる理由(成長率・金利・期待)

 

FAQ

PEGレシオの「成長率」は何年を使う?(1年/3年/5年CAGR)

目的次第です。短期の勢いなら1年、安定比較なら過去3〜5年CAGR、将来を織り込みたいなら予想CAGR。

ただし予想はブレる前提で扱います。

 

PEGが1未満なら買い?

買い確定ではなく、深掘り候補の上位に置く目安です。

成長率の定義が揃っているか、EPSの質は良いかを先に確認してください。

 

PEGが高い成長株は全部ダメ?

ダメとは限りません。

成長の確度が高く、リスクが低下している局面では高PEGでも買われることがあります。

重要なのは「なぜその評価が許容されているか」を説明できることです。

 

赤字・マイナス成長のときPEGはどう考える?

PERが意味を持ちにくく、PEGも機能しにくいケースが多いです。

売上成長やPSRなど別の視点が必要になることがあります。

 

PERとPEG、どちらを優先すべき?

優先は EPS(成長の質)→PER(評価の理由)→PEG(補正) の順が安定します。

PEGは最後の点検に置くのがおすすめです。

 

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