株価が上がる理由をシンプルに分解すると、答えはだいたいこの式に集約できます。
株価 = PER × EPS
EPS(稼ぐ力)が伸びれば株価は上がります。
さらに市場の期待が高まりPER(評価)が上がれば、株価はもう一段伸びます。
この記事では、「EPS成長が本体、PER拡大は追い風」という王道の考え方を、数値例とともに整理します。
また、EPSが伸びないのにPERだけ上がる危険パターン、そしてオニール(CAN SLIM)やミネルヴィニ(VCP)の思想とどう接続できるかまでまとめます。
結論:株価が伸びるルートは2つ(理想は両取り)
株価上昇は大きく2要因に分解できます。
- EPSが上がる(業績の成長)
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PERが上がる(市場の期待が上がる)
そして投資家として狙いたい理想形はこれです。
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目指すべき形:EPS↑ × PER↑(成長+評価の拡大)
EPSは企業が積み上げる実力であり、再現性が比較的高いです。
一方でPERは市場の心理や資金の流れで変わりやすく、追い風にも逆風にもなります。
だからこそ注意したいのがこの状態です。
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注意:EPS→でPER↑だけは不安定になりやすい(期待先行・短期資金化・仕手化など)
「PERだけで上がる株」は、上がるスピードが速い一方で、下がるときも速いです。
この逆回転が起きたとき、EPSが伸びていないと下支えが弱くなります。
まず基本式を理解する:株価=PER × EPS
PERとEPSを一言で
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EPS:1株あたり利益(企業の稼ぐ力)
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PER:利益に対して市場が何倍まで買うか(期待・人気・不確実性の低さ等)
EPSは企業側の努力や事業成果で上がります。
PERは市場側の評価で変わります。
この2つの掛け算で株価が決まる、と考えると「株価が上がった理由」が驚くほど整理しやすくなります。
簡単な数値例
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EPS 100円、PER 10倍 → 株価 1,000円
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EPS 120円(+20%)、PER 10倍 → 株価 1,200円(+20%)
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EPS 100円、PER 15倍 → 株価 1,500円(+50%)
ポイントはこれです。
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EPSが伸びれば、PERが同じでも株価は伸びる
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EPSが同じでも、PERが上がれば株価は伸びる
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両方伸びたら、株価はより強く伸びやすい(成長×評価の複利)
王道①:EPSが上がると株価が上がる(本体は業績)
EPS上昇は「再現性」が比較的高い
EPSが伸びる背景には、企業の勝ち筋があります。たとえば、
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売上成長(顧客増・単価増・シェア拡大)
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利益率改善(高付加価値化、プロダクトミックス改善)
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価格転嫁(インフレ局面で強い企業)
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コスト構造改革(固定費の圧縮、オペ改善)
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プロダクトの勝ち筋(競争優位が明確)
ここで重要なのは、成長の源泉が何かを確認することです。
EPSが上がっていても、それが「たまたま」なら再現しません。
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一回きりの要因(特別利益、資産売却益など)を除外する
-
継続して伸びる構造があるかを見る
これが「EPS成長株」を選ぶときの基本姿勢になります。
EPS成長を見るときのチェックリスト
EPSは便利な指標ですが、見方を間違えるとハマりやすいです。最低限ここを押さえると精度が上がります。
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YoY成長率(四半期・通期)
→ 直近の勢いと、継続的な成長の両方を見る -
売上成長とセットで見て利益だけの不自然さを排除
→ 売上が伸びていないのにEPSだけ伸びているなら理由を確認 -
営業利益率/粗利率の改善
→ 儲けやすい体質に変わっているか -
発行株式数(希薄化)・自社株買いの影響
→ EPSは「利益÷株数」。株数の増減で見え方が変わる -
特別利益でEPSが膨らんでいないか
→ 本業の成長(営業利益・経常利益)と整合しているか
このあたりを押さえるだけで、「EPS成長に見えるだけ」の銘柄をかなり排除できます。
本サイトで管理している「オニール銘柄」を利用すれば、直近の四半期決算で売上高・EPSがともに前年同期比で20%以上成長している銘柄を把握することができます。
EPSについては別記事でも詳しく解説しています。
続きを見る
EPSとは?意味・計算式・見方をわかりやすく解説(成長株投資での使い方も)
王道②:PERが上がると株価が上がる(期待の上昇=バリュエーション拡大)
EPSが伸びているのに、株価がそれ以上に伸びる。
この局面で起きているのが、PER拡大(バリュエーション拡大)です。
PERが上がる理由は「期待」だけじゃない
PERは「人気投票」と誤解されがちですが、実際はもう少し構造があります。
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成長の確度が上がる(リスク低下)
→ 業績のブレが小さくなる、勝ち筋が明確になる -
事業モデルが評価される(ストーリーが伝わる)
→ 市場が理解しやすい成長モデルになる -
市場環境が追い風(業界トレンド)
→ その業界全体に資金が入る(セクター物色) -
資金流入(機関投資家の買い)・注目度上昇
→ 需給が改善し、評価が切り上がる
PERは感情だけでなく、「不確実性の低下」や「市場の資金配分」でも上がり得ます。
「期待」がPERに乗る瞬間のサイン
PERが上がりやすいのは、投資家が「これはまだ伸びる」と納得し始めたタイミングです。よくあるサインは以下です。
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上方修正・ガイダンス強化
→ 期待が数字に変わると市場は反応しやすい -
市場シェアの伸び、顧客基盤の拡大
→ 成長の再現性が見える -
強い株価トレンド(高値更新)+出来高増
→ 注目と資金が集まりやすい -
同業比較での再評価(割安な成長株の発見)
→ 相対的に見直されるとPERが切り上がる
「EPS成長」だけではなく、「評価が変わる理由」までセットで語れる銘柄は強いです。
限定記事で提供している「新高値ブレイク」や「週足チャートのブレイク銘柄」を利用すれば、出来高を伴ってブレイクした銘柄を効率的に探すことができます。
PERの詳細についてはこちらをご参考ください。
続きを見る
PERとは?意味・計算式・目安をわかりやすく解説(高い/低いの判断も)
危険地帯:EPSが伸びないのにPERだけ上がる株はなぜ怖いのか
PER拡大だけの上昇はいつでも逆回転する
PERは上がるときもあれば、縮むときもあります。
怖いのは、PERの縮小が株価に与えるダメージが大きいことです。
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期待が剥落するとPERは縮む
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株価はEPS以上に落ちることがある(評価の分だけ下振れする)
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材料出尽くし・テーマ株・短期資金のゲーム化で起きやすい
EPSが伸びていれば、株価が下がっても「業績がついてくる」ことで回復しやすい。
しかしEPSが伸びていない場合、下支えが弱くなりやすいのが現実です。
仕手っぽさ/期待先行を見抜く観点
「EPSは伸びていないのに株価だけ強い」銘柄は、必ずしも全てがダメではありません。
ただ、次のような特徴が重なるほど注意が必要です。
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決算が弱いのに高値更新を続ける
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出来高が急増し値幅が荒い(ボラ急上昇)
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IRが曖昧、事業の実態が追いついていない
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将来すごいしか語られない(数字がない)
こういう状態は「仕手株みたいな動き」になりやすく、上がる理由がPERしかないと、下がる理由もPERになりがちです。
理想形:EPS成長を確認しつつ、市場変化でPERも伸びる銘柄を狙う
このパターンが強い理由(複利の構造)
強い成長株の上昇は、だいたいこの形になります。
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EPSが伸びる → 株価の下支え(成長の土台)
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そこにPER拡大 → 上昇が加速(人気・注目で追い風)
EPSが上がり、投資家が納得し、資金が集まり、PERも上がる。
この循環に乗ると、株価の伸びが加速しやすいわけです。
狙い方の実務テンプレ
実務的には、次の3段階で絞るとブレにくくなります。
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EPS成長が続く銘柄を候補にする
まずは業績で足場を固める
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株価が高値更新し始める銘柄を選抜する
市場の評価(PER)が乗り始めた兆候を拾う
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出来高・相対強度・需給で本命に絞る
みんなが買い始めた形跡があるかを見る
この流れは、オニールやミネルヴィニの思想とも相性が良いです。
ここでいう相対強度は、レラティブストレングスで捉えることができます。
本サイトでは日本株にレラティブストレングスを適用して、毎週計算しています。
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オニール(CAN SLIM)で見る「EPS×PER」の考え方
次にこの株価 = EPS x PERの考え方がオニールのCAN-SLIM投資法でどう関わるのかをみていきます。
C(Current earnings):直近四半期EPSの強さがトリガー
オニールは、直近四半期のEPS成長を非常に重視します。
なぜなら市場は「直近の変化」に反応しやすく、評価(PER)が乗りやすいからです。
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強い決算 → 注目が集まる → PERが切り上がりやすい
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つまり EPS成長が起点になってPER拡大を呼ぶ 構造
本サイトで管理している「オニール銘柄」はこのC(Current earnings)を利用しています。
A(Annual earnings):年次の継続成長でEPSの土台を確認
オニールは単発より継続を好みます。
年次で成長しているかを見ることで、「たまたま」ではない土台を確認できます。
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単発ではなく継続性があるか
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景気や外部環境が変わっても伸びる体質か
N(New):新製品・新市場がPER拡大の燃料になる
PERは「未来への期待」で動きます。
だから新製品・新市場・新しい成長ドライバーは、PER拡大の燃料になります。
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期待が生まれる材料があるとPERが上がりやすい
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ただし、材料だけでなく数字(売上・利益)につながるかが重要
L(Leader):強い銘柄=市場の注目=PERが乗る
強い銘柄は注目され、資金が集まり、評価されます。
相対強度(レラティブストレングス、RS)的な発想で「市場の勝ち組」を選ぶことは、PER拡大局面を取りに行くことにもつながります。
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ミネルヴィニ(VCP)で見る「EPS×PER」の考え方
次にミネルヴィニのVCPとどう関わるのかをみていきます。
ファンダは参加資格で、テクニカルはエントリー精度
ミネルヴィニは、基本的に「強いファンダ(EPS成長など)」を前提にします。
そのうえで、VCPのような形で勝ちやすい場所から入る思想です。
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EPS成長(強い決算)を前提に
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VCP(ボラ圧縮→ブレイク)で需給の整った位置から入る
つまり、EPSで候補を作り、テクニカルでタイミングの精度を上げるイメージです。
これには「オニール銘柄」が活用できます。
PER拡大局面とVCPの相性
ブレイクは「注目が集まる瞬間」です。
注目が集まると、PERが乗りやすくなります。
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ブレイク=注目が集まる瞬間=PERが乗りやすい
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ただし形だけは危険 → EPSが伴っているかでフィルタ
この「形は良いけど業績が弱い」を排除できるかが、成長株投資の差になります。
第2ステージにいる銘柄に投資する
ミネルヴィニは株価は4つのステージに分けられると言っています。
- 第1ステージ:底固め局面 無関心
- 第2ステージ:上昇局面 機関投資家の買い集め
- 第3ステージ:天井圏 機関投資家の売り抜け
- 第4ステージ:下落局面 投げ売り
投資するべきは第2ステージです。
そしてこの第2ステージにいる銘柄を特定するために、トレンドテンプレートというスクリーニング条件が提唱されています。
本サイトで管理している「ミネルヴィニ銘柄」は、このトレンドテンプレートを利用しています。
続きを見る
【無料公開】ミネルヴィニのトレンドテンプレートを日本株に適用する
まとめ:チェックリスト(保存版)
最後に、「株価=PER×EPS」を実戦で使うためのチェックリストです。
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EPSは伸びているか?(質の高い成長か?)
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売上・利益率・継続性・特別要因を確認
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PERが上がる理由が説明できるか?(期待の根拠が数字で語れるか?)
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上方修正、シェア拡大、業界追い風、資金流入など
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PERだけ上がっていないか?(逆回転のリスク)
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材料先行・ボラ急上昇・実態の薄さに注意
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トレンドと需給は味方か?(高値更新・出来高・相対強度)
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市場が評価し始めた兆候を確認
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「PERとは?」
FAQ(SEO用のQ&A)
PERが高い株は買ってはいけない?
一概にNGではありません。成長株は将来の利益成長が見込まれるため、PERが高く見えがちです。
重要なのは、高いPERを正当化できるだけのEPS成長があるか、そして成長の再現性があるかです。逆に、EPSが伴わない高PERは崩れやすくなります。
EPSが増えているのに株価が上がらないのはなぜ?
原因は主に2つです。
1つはPERが縮んでいる(評価が下がっている)ケース。金利上昇や成長期待の低下、外部環境の悪化で起きやすいです。
もう1つは、EPSの増加が一過性(特別利益など)で、市場が質を疑っているケースです。
PERは何倍が適正?業種で違う?
業種で違います。成長率、利益の安定性、資本効率、景気感応度で市場の評価は変わります。
PERは単体の数字よりも、同業比較と過去レンジ、そして成長率(EPS成長)との整合で判断するのが現実的です。
成長株のPERが縮む(バリュエーション調整)の典型パターンは?
典型は「期待が先行しすぎた」局面です。
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決算が市場期待に届かない(ミスではなく期待が高すぎた)
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成長率が鈍化する兆しが出る
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金利上昇などでグロース全体の評価が下がる
このとき、EPSが伸びていてもPERが縮むことで株価が伸び悩むことがあります。
効率的に銘柄を探し出すには?
本サイトで提供しているデータを是非ともご活用ください。
- 「オニール銘柄」で、直近の四半期決算で売上高・EPSがともに前年同期比で20%以上の銘柄を特定できます。
- 「ミネルヴィニ銘柄」では、トレンドテンプレートを活用して第2ステージにいる銘柄を把握することができます。
- 「新高値ブレイク」や「週足チャートのブレイク銘柄」を利用すれば、出来高を伴ってブレイクした銘柄を効率的に探すことができます。
これらを活用すれば、効率的に投資銘柄を探すことができます。
是非ともご活用ください。
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